家庭から変える

 6月22日(2018年)にアップした記事⎡ドイツの学生運動から50年⎦で、ドイツでは学生運動が社会を変える大きなインパクトになったのに対して、日本ではどうして学生運動が社会を変えるインパクトにはならなかったのかと、疑問を投げかけました。

 雑誌⎡社会主義⎦11月号にも投稿しましたが、その一つの答えをロンドン大学クイーン・メアリーのドイツ人女性歴史学教授クリスティーナ・フォン・ホーデンベルクさんの著書「もう一つの68年」(2018年)が出してくれているのではないかと思います。

 教授はその著書で、68年学生運動には二つの活動の場があったといいます。一つが政治と公衆の場、もう一つが個人と家族の場です。そして長い目で見ると、個人の生活する家庭で起こった変化のほうが、公衆の場で起こった変化よりも影響力が大きいといいます。

 ぼくは、戦後70年の2015年に雑誌⎡世界⎦に、平和についてはマイクロ平和とマクロ平和の取り組みがあり、今、マイクロ平和の取り組みが大切になっていると書いたことがあります。

 教授のいう個人と家族の場で取り組むのは、一人一人が取り組むマイクロプロセスです。それが、ドイツ社会を変える一つの大きなインパクトになったということです。

 そのマイクロプロセスをもたらしたのは、女性でした。68年学生運動は反権威主義的な運動でした、でも女性にとっては、男性中心の権威主義的な運動でした。それが、ドイツで女性運動の起こる発端でした。保育所が足りないという生活に密着した問題とも重なり、女性が自立していくきっかけにもなります。

 こうして、女性たちは家父長的で、権威主義的なドイツの伝統的な家庭を個人として下から変えていったのです。その変化から、新しい、オープンでリベラルな次の世代人が育っていったのです。教授は、それがもう一つの68年学生運動だったのだといいたいのだと思います。

 現代のドイツ社会を見る限り、ぼくはその説明でかなり納得したように思っています。

(2018年11月02日、まさお)

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