構造改革を妨げる既得権益

 一旦社会構造ができあると、既得権益を守る方向に走る。時代の需要に合わせて築き上げられてきた社会構造だが、既存の社会構造はいずれ停滞し、衰退する。

 産業界は、新しい技術によって技術改革しなから発展する。競争に勝って生き残るには、技術開発によって常に新しい技術を市場に出していかなければならない。でも、労働者はそれについていくことができない。既存技術のために働く労働者は、新しい技術のために再教育されるか、不要になる。再教育にも時間がかかる。失業も増えると、そのために莫大な資金が必要になる。

 たとえば、石炭産業や製鉄産業は産業革命後、産業化を促進する重要な産業だった。でも、石炭産業も、製鉄産業のような重工業は、先進国ではもうやっていけない。

 そのためには、構造改革が必要だ。でも、構造改革はそう簡単ではない。企業は既得権益を守るために、構造改革に抵抗する。構造改革によって失業する労働者のことを考えると、急速に構造改革するわけにもいかない。どうやって雇用を維持しながら、構造を改革していくべきなのか。とても重要な課題だ。

 雇用維持を名目に構造改革が後回しにされても、実際には利権が守られていることも多い。

 特に日本のように政権交代のなかった社会では、利権構造が確固で、利権は常に同じところに集まっている。政治と経済はそれだけ癒着する。そうなると、構造改革は余計難しくなる。政権交代とは、利権の流れる方向を変えるということでもある。それによって、利権の分配がより公平になる。

 政権交代があったほうが、社会構造がより健全になるともいえる。

(2018年11月13日、まさお)

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.