考える授業(2)

 12年生の政治経済の授業では、メシュ先生がいきなりプリントを配布しました。プリントには、過去1週間のニュースの抜粋が掲載されています。

 先生はプリントにあるニュースを読んで、間違いをみつけなさいと生徒たちに指示しました。

 数分後、先生は生徒たちに見つけた間違いを指摘するようにいいました。すると、教室のあちこちで生徒たちが挙手します。

 間違いの中には、フェイクニュースといえるものはありませんでした。大臣の名前が間違っていたり、国防大臣が財務大臣になっていたりと、事実関係のちょっとした間違いばかりでした。でもそれとて、普段から政治に関心を持っていない限り、間違いに気づくことができません。その意味で、とてもレベルの高いことが要求されていると思いました。

 次の課題には、とても難しい問題だとさらに驚かされました。

 ドイツは、2011年に徴兵制を廃止しました。当時から、兵士となるか、それを拒否する場合は社会福祉サービスに従事するかの選択肢がありました。

 ドイツ兵の国外派兵が現在、ますます増えています。そんな中、徴兵制を一部復活させ、若者すべてに社会奉仕義務を課すべきではないかという議論が、ちょうどはじまったところでした。兵士になることも含め、社会福祉などの分野で社会に奉仕することを若者に義務つけるというものです。

 メシュ先生はまず、数人ずつグループになって議論するようにいいました。それから、少しして社会奉仕サービスの義務化について、いいところと悪いところを挙げてみようといいました。

 教室のあちことで、生徒たちの挙手する手が見えました。

 まず、社会のために若者が奉仕するのはいいことだという意見が多くみられました。兵士や介護士を確保する意味で、いいのではないかという意見もありました。それによって、若者の失業を防止できるという意見もでました。

 それに対して悪い点では、義務化によって選択する自由が奪われるとか、素人が兵士になるのは危険だという意見がありました。また、義務化でむしろ国のコスト負担が増えるという意見もありました。

 ところどころで、反論する生徒もいます。でも生徒たちが述べた意見は、女子生徒一人が代表となって一つ一つ黒板に書いていきます。

生徒たちと話をするメシュ先生

 感心したのは、生徒たちが自分たちで作業している間、メシュ先生が教室を回って生徒たちと一緒に議論したり、質問に答えていることでした。こうして、先生が生徒たちの意見を引き出そうとしているのだとわかりました。
 
 ぼくも、メシュ先生とちょっと話す機会がありました。

 先生によると、生徒たちが自分の意見をみんなの前で述べることがとても大切です。そして個人の意見である以上、意見には間違いがないことを自覚することもとても大切だといいます。生徒たちはこうして、お互いの意見を尊重して議論することを学ぶのでした。

(2018年9月07日、まさお)

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