さよなら減思力

G7サミットなんて、もう止めようや!

 カナダで開催される今年のG7サミットまで後1週間。そんな中、ドイツ政治週刊誌「シュピーゲル」が今日の電子版の社説で、「G7サミットをキャンセルしよう」と打ち出しています。

 これは昨日、米国トランプ大統領の意向で、EUとカナダ、メキシコから輸入される鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%と10%の関税をかけることが決まったからでした。日本からの鉄鋼、アルミニウムに関しては、すでに今年4月に関税をかけることで発動しています。それに対し、EUとカナダ、メキシコに対しては5月末まで最終決定が保留されていました。

 今後は、自動車関税が発動されるかどうかに注目が集まっています。発動すると、自動車産業国の日本とドイツが大きな打撃を受けることが心配されます。

 米国トランプ大統領は、パリ条約拒否、WTO無視、イラン核合意からの離脱と、各国が共同で時間をかけて妥協してきたものを単独で強引に無視してきました。今回も、保護主義に対抗して長い年月をかけて自由貿易を築き上げてきた西側社会をコケにしているといっても過言ではありません。

 シュピーゲル誌は、たとえ今年のG7サミットが開催されても、トランプ大統領のワンマンショーに利用されるだけ、サミットで話し合った内容はすぐに無視されるわけだから、サミットを開催する意味はないとしています。

 ぼくは2007年に、ドイツで行なわれたG8サミット(当時はロシアも参加)を取材したことがあります。警備に莫大なお金をつぎこむ割には内容の薄いもので、政治ショーにすぎないと痛感しました。何のためのサミットかと、その意義にとても疑問をもちました。

 メディア自体取材にいっても、実際にサミットで話し合われた内容は、政府からもらうしかありません。日本メディアの記者が『ポチ』のように行列をつくって、日本政府のブリーフィング会場にいく姿がいまだに目に焼き付いています。それでいて、日本メディアは議長国ドイツや他国の記者会見を取材していませんでした。

 日本政府の言い分しか取材しないものだから、サミットではほとんど話し合われていない北朝鮮問題が、日本政府がブリーフしたままに大きなテーマになったかのように日本で報道されます。

 こうして日本では、北朝鮮問題が意図的に社会で加熱させられてきたといえるとも思います。

 2年前の伊勢志摩サミットでも、ドイツから見ていると安倍首相のためにショー化されていたのが見え見えでした。

 たとえ今回サミットが開催されても、米国トランプ大統領にとってサミットに出席するのは自分の地盤となる有権者に自分のいいところを見せるためのショーでしかありません。他国の首脳は、その『刺身のつま』として利用されるだけです。

 サミットは現在、開催当初の各国が対話するという意義を失ってしまっています。ロシアもクリミア侵攻で、サミットから排除されてしまいました。

 昨今のように単なる政治ショーで終わるなら、莫大な税金を使ってまで開催する意味はありません。そのための資金は、社会福祉などもっと有意義に使ってほしいものです。

 ぼくは、今回G7サミットをキャンセルするばかりでなく、もう止めてしまったほうがいいと思っています。G20というもっと広い枠組みもあるわけだし、G7はもうすでに不要になっています。

(2018年6月01日、まさお)

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 Comments

  1. 久留島守広 より:

    始めて投稿させて下さい、久留島です。

    本記事+なぜカトヴィツェでCOP21を拝見。確かに、同市はポーランド・石炭産業の中心・産業都市、いわば本邦・北九州、なぜここでか?でも、以下かもかとの思いです。
    北九州市は、公害都市から環境志向都市へと転進(七色の排煙・空>青空)と、環境関連会議主催多々との感あり。つまり、ポーランド政府も、産業・エネルギー転換の契機に、あえて同市にてと。
    (少々飛躍しますが、公害の原点・四日市市:ICETT開設他、川崎市:テクノバレー・NEDO同もと)

    単に大学人ですが、COP3~21までワルシャワ・ポツナン含め参加、かつ以下同の思いにて失礼。
    dena Energiewende-Kongres​s 2018: 11/26~27ベルリン

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