2017年4月09日掲載 − HOME − エネルギー選択宣言一覧 − 9章記事
自治体もエネルギーを選択できる

ぼくは1章で、ドイツのフェルトハイムとシェーナウの事例を挙げました。フェルトハイムでは、村周辺に風力発電パークができたので、地元村民のイニシアチブによって地元で風力発電された電力を地元で消費することにします。シェーナウは、日本でも市民電力会社の生まれた地として有名になりました。ここでは、第二次世界大戦前まで繊維産業に利用されていた小さな水力発電施設がたくさん再生されています。


その他自治体の中には、一旦民営化された自治体電力公社が再び公営化されている町もあります。ドイツ北東部のプレンツラウでは、自治体電力公社と配電網の再公営化によって電気料金を25%引き下げることができました。


プレンツラウは、昔からドイツでは数少ない地熱発電施設があった町。再生可能エネルギーの関連企業を誘致するなどして、町の再生可能エネルギー化を進めてきました。


プレンツラウにいくと、周辺にたくさんの風車が並んでいます。これは、風力発電のゼネコンのエネルトラーク(ENERTRAG)社が設置したものです。同社はプレンツラウ近郊の小さな村に立地し、そこからヨーロッパ大陸中に建設した風力発電パークを中央管理しています。4章で挙げた風力発電された電力で水素を製造するパイロットプラントも、同社によるものです。


さらにプレンツラウには、ソーラーパネルの製造工場(アレオソーラー(aleo solar)社)も誘致されました。自治体側は地元で太陽光発電を促進するため、町内の太陽光発電に適した場所を示すため、太陽光発電土地台帳を作成しています。


プレンツラウの他にも、再生可能エネルギー関連企業と一体になって発展している自治体があります。たとえば、ドイツ南西部のヴェルシュタット。6章で挙げた再生可能エネルギーのゼネコンのユーヴィ(Juwi)社を誘致するのが、地域全体を再生可能エネルギー化するきっかけでした。町と経済界が地域を再生可能エネルギー100%化することで一致し、ユーヴィ社との相乗効果で地元経済を活性化させています。


これらの事例は、自治体自身も独自にエネルギーを選択することができることを示しています。


(2017年4月09日掲載)

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