2017年3月16日掲載 − HOME − エネルギー選択宣言一覧 − 1章記事
日本は、再生可能エネルギーをつぶすのか

ドイツでは現在、年間総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は約32%(2016年末時点)。グリーン電力においても、すでに火力や原子力で発電された電力よりも安い電力商品が登場しています。安いグリーン電力商品では、主に小規模水力発電されたものが中心になっています。ノルウェーなどで小規模水力発電された安いグリーン電力が、ドイツに輸入されています。


それに対し日本では、2014年において年間総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は3.2%にすぎません。この数値には、水力発電が含まれていません。水力発電の占める割合は、その3倍の約9%。大きなダムによる大規模水力発電が中心です。資源エネルギー庁のホームページでは、この大規模水力発電も含めて「自然エネルギー」が発電に占める割合は、約12%あると吹聴しています。


水力は、確かに自然エネルギーです。でも大規模水力発電は、再生可能エネルギーとは見なされません。大規模なダムを使って発電する水力発電は、自然環境を破壊します。魚が上流に上がっていけないなど、河川の水系に大きな影響を与えます。中小型の水力発電施設だけが、再生可能エネルギーと認められます。


電力自由化で価格競争が激しくなると、価格下げ圧力が強くなります。その結果、安い水力発電に頼りたくなります。でも既存の大規模水力発電に依存していては、国内において太陽光発電や風力発電が普及しません。電力自由化で、再生可能エネルギーの価値と魅力が見失われてしまう危険があります。発展途上にある再生可能エネルギー。それを公平に扱うには、自由化された市場において保護しなければなりません。


ドイツでは、再生可能エネルギーが予想以上に急増し、電気料金の高騰を招いています。ドイツ政府は電気料金の高騰を抑えるため、ここ数年来、再生可能エネルギーの拡大にブレーキをかける政策に転じています。


それに対し、日本はまだ再生可能エネルギーを育てる初期段階にあります。それにも関わらず日本の政策は、どうすれば再生可能エネルギーが増えないか、何段階も先に進んだドイツの政策からうまく学んできたように思います。それでは、再生可能エネルギーの普及を妨害するだけです。日本の政策は、自由化の過程で再生可能エネルギーがつぶれていくのを待っているようにしか思えません。


(2017年3月16日掲載)

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