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2017年4月05日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 8章 交通の未来
1)電気自動車

電気自動車で問題となるのは、電気の充電に時間がかかり、一回の充電で走ることのできる走行距離が短いことです。走行距離が長くなると同時に、充電にかかる時間も短くならなければ、電気自動車の利用は限定されます。


この問題をうまく解決して、ビジネスチャンスを生み出したのがドイツ鉄道です。すでに述べたように、ドイツ鉄道は主要駅と都市内にカーシェアリングの拠点を置いて、カーシァリングビジネスをはじめました。2009年からフリンクスター(Flinkster)の名称でドイツ鉄道の子会社が、事業を展開しています。


電気自動車
ベルリン市内に乗り捨てられたドイツ鉄道のカーシェアリング電気自動車

ドイツ鉄道の戦略は、主要都市間をグリーン電力で走る列車で移動してもらい、都市内は電気自動車で走ってもらうというものです。それによって、交通で再生可能エネルギー化を実現します。電気自動車の走行距離が短くても問題ありません。現在ドイツ鉄道のカーシェアリングで電気自動車の使える都市は、まだ政府のモデル都市となっているベルリン、フランクフルト、ザールブリュケンの三都市にすぎません。ベルリンでは、350台の電気自動車が用意され、中心街では乗り捨ても可能になっています。


ドイツでは、電気自動車で使用する電力を再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力に限定します。原子力発電や火力発電で発電された電力を使っては、交通の再生可能エネルギー化が実現できません。


電気自動車の蓄電池はすでに述べたように、家庭用の蓄電池としても共用することができます。住宅に設置されたソーラーパネルで発電された電力を電気自動車の蓄電池に蓄電しておき、その電力を家庭用にも、自動車用にも使います。


将来的には、このシステムを拡大させることができます。スマートメーターを使って公共の送電網と連携させれば、電気自動車の蓄電池を集合住宅や街の区域の蓄電池として、さらには都市全体の電力供給システムの分散型蓄電池として使うことができるようになります。電気自動車それぞれの蓄電池をつなげて、一つの大きなバーチャル蓄電池とします。その意味で、電気自動車は将来の電力供給システムにおいて大きなポテンシャルを持っています。


充電中の電気自動車
充電中の電気自動車

ドイツ政府は現在、電気自動車を2020年までに100万台、2030年までに600万台にする目標を設定しています。ヘンドリクス環境大臣は、2030年からは電気自動車しか販売すべきではないとも発言しています。しかし現在、ドイツで普及している電気自動車は3万台程度。まだ電気自動車の価格が高いからです。2020年までに100万台という目標は、半減せざるを得なくなりました。


電気自動車の普及を促進するため、購入時に消費者を補助する方向で長い間議論されてきました。それによって、消費者に電気自動車を購入するインセンティブを与えます。その結果、政府が購入時に一部補助金を出すことで経済界との合意が成立しました。


しかし政府補助とは、納税者がそれを負担するということです。莫大な利益を上げている自動車業界に対する間接的な補助でもあります。そのため、政府補助には野党や環境団体から強い反発が出ました。


電気自動車の場合、電気自動車に搭載される蓄電池が家庭用とその他の蓄電池と競合します。蓄電池には、リチウム、銅など特殊な金属材料が必要です。それに必要な資源の獲得で、国際競争が激化しかねません。そうなると、石油など化石燃料資源の獲得競争と何ら変わらなくなります。安全保障の問題を考え、資源獲得競争に巻き込まれない資源の利用を考えなければなりません。


(2017年4月05日掲載)

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