再生可能エネルギーによる発電は天候に大きく左右され、発電量に変動が大きいとという問題があります。その問題を緩和するため、常に安定して電気を供給してくれる原子力発電や石炭火力発電がなくてはならないのではないかと思われがちです。
原子力発電や石炭火力発電は、毎日最低限必要な電気を供給するベースロード電源といわれます。それについては、前回すでに述べました。
しかし実際には、再生可能エネルギーはベースロード電源とは両立しません。なぜでしょうか。
それは、再生可能エネルギーの変動には常に一定の電気を供給していて、柔軟性のない発電方法では対応できないからです。再生可能エネルギーの変動には、発電量を柔軟に調整しやすい発電方法でしか対応できません。
変動には変動で、つまり安全パイではなく、柔軟性で対応するしかないということです。電気の供給において、ベースロード電源はいらないという頭の切り替えが必要になっています。
たとえばドイツでは、夜間に風力発電だけで電気の需要を満たせる時間が増えてきました。その時間帯には、原子力や石炭火力で発電されたベース電力は不要になります。しかし、原子力発電所や石炭火力発電所は簡単に止めることができません。原子力発電所のようにすぐに止めることができても、再稼働するのに莫大なコストがかかります。
再生可能エネルギーによる発電量が増えるにつれ、ドイツでは再生可能エネルギーの変動に素早く反応できるガス発電がたいへん重要になってきました。しかし、ガス発電所は普段発電せずに待機し、必要な時にだけ発電するリザーブ発電所として機能します。でも、それを維持するためにもコストがかかります。
この問題にどう対処すべきなのか、次回考えたいと思います。
(2018年7月18日)
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